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Japan - 世界市場へのカムバック

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スイスの中心で日本の素晴らしさを体験

2014年6月5日、Gaiproのマーティン・ストリッカーと、デジタル・マーケティング会社Cream K.K.のPierre Gaulisがスイス・チューリッヒで日本についてのビジネスセミナーを開催しました。
セミナーはチューリッヒにある日本庭園で行われ、参加者の皆さんはチューリッヒの主要駅からわずか5分の場所にオアシスのような日本庭園があったことに驚いていました。このセミナーの為に特別に用意された和食弁当はスイスで起業した日本人女性によるものです。
UBS、スイス・リー、Swiss technology SMEs、Switzerland Global Enterpriseなど各企業、団体、または学界から集まった参加者は当日デジタル・マーケティングや人事について、現在の日本のトレンドをディスカッションしました。当日の模様をご紹介させていただきます。

「失われた20年」

この表現が正しいと言えるかどうかわかりませんが、「失われた20年」とは1990年 - 1991年頃に起きたバブル崩壊後の日本の経済低迷を表す言葉です。バブル崩壊の頃にちょうどグローバル化の波も押し寄せ、市場競争が激化しました。 安倍政権が始まって1年半以上経ち(それでも最近では最も長い政権の一つとなりましたが)、安倍政権を支持する人も敵対している人も多くいますが、良かれ悪しかれ安倍政権の下で日本が変化しているという事実は否定できないでしょう。2012年に首相となって以来、株価は2倍となり、円安が進行し、また政府は欧米諸国と積極的に自由貿易協定を推し進めています。中でも特筆すべきことは日本の経済界や一般の人々の「気分」が大きく上向いたことです。2020年のオリンピック開催地に決定した事も要因の一つでしょう。気分が上向いただけで日本経済の構造改革をするには不十分ですが、20年に渡る「失われた自尊心」の後では人々の「気分」の変化が大きな変化への引き金になるかもしれません。


新しいタイプのセミナーを開催

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マーティン・ストリッカーは通算20年以上を日本で過ごしました。今までに何度も「やっと日本の経済が復活するのでは」と期待しては失望してきましたが、最後に失望したのは東日本大震災の後でした。日本の人々が素晴らしい回復力、忍耐力と強靭さを見せたにもかかわらず、日本の政治は震災後4週間もかからずに麻痺状態に入りました。アベノミクスへの期待もまた失望に終わってしまうかもしれませんが、今のところ日本の「気分」は上向いていますし、誰もが日本はデフレスパイラルから脱するだけではなく、不景気から脱する事ができると期待しています。このような状況を背景に、Pierre Gaulisとマーティン・ストリッカーはスイスでの初のセミナーのタイトルとして「Japan - 世界市場へのカムバック」を選びました。

このセミナーの開催にあたって、二人は他のセミナーとは違った日本的な会場で、本格的な和食に触れてもらいながら、日本についての独自の見解をスイスのビジネスマンたちに紹介したいと考えました。こうしたセミナーにありがちな長い紹介やプレゼンテーションをなくし、トークは短めに、参加者とのディスカッションをより大切にしました。また、日本でのビジネスについての「よくある話」ではなく、自分達が良く知る専門分野を中心に語りました。


パート1:「日本のデジタル・マーケティング」

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デジタル・マーケティングとウェブ開発で成功を収めている起業家のPierre Gaulisが、日本でのソーシャルメディアの浸透とモバイルの役割について詳しく紹介しました。
日本は79%と、アジア太平洋地域、また世界の中でも、最もインターネットの普及率が高い国のひとつです。また、全人口の58%がソーシャルメディアを利用しているとされています。日本が遅れている分野もいくつかありますが、「モバイル」利用の分野では日本は抜きんでており、ソーシャルメディアの活用方法を知っている企業にとっては多くのチャンスがある国です。日本マーケット参入の戦略として、スウェーデンの人気ファッションブランドのH&Mは日本独自のモバイルサイトを立ち上げました。H&Mグループの中でも珍しい試みです。Pierre Gaulisの自社である「Gream」はこの分野で非常に活躍しており、ルイ・ヴィトン, TAG HeuerやCARAN d'Acheなどにサービスを提供しています。スイス企業、特に小売り業界や高級品業界の企業は日本でのソーシャルメディアやモバイルメディアの可能性をもっと探るべきです。小売業界・高級品業界の為に作られたモバイルアプリは他の業界での将来的な可能性を知る為の試金石となるかもしれません。


パート2:「人材獲得バトル」

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次にマーティン・ストリッカーが「日本の人材獲得バトル」と題してこの20年のHR業界トレンドの裏側について説明しました。
日本企業であっても外資系企業であっても、日本にある企業が今最も必要としているのはインターナショナルなエグゼクティブ層ですが、そのような人材は数・質共にどんどん少なくなっています。高齢化に伴い日本の人口はすでに減少しており、この傾向は今後何十年も続くとされています。その上減少している労働力は80年代ほど「インターナショナル」な労働力ではありません。80年代には多くの日本人エグゼクティブが海外に駐在し必要に迫られ英語を学びましたが、残念なことに今日の日本の若い世代は海外で学ぶことにあまり興味がなく、リスク回避型の若者が多いのです。その為、若く、インターナショナルなエグゼクティブは「人材獲得バトル」の中では「貴重品」なのです。


簡単ではないが、不可能ではない

このような状況でスイス企業が日本で優秀な人材を雇うことは不可能ですか?
マーティン・ストリッカーの答えははっきりしています。「不可能ではありません」

CH seminar photo 5.jpg 日本で優秀な人材を見つけることは簡単ではありませんが、不可能でもありません。これは現在日本で活躍する170のスイス企業が証明しています。人材紹介会社を運営してきた10年の経験から、マーティン・ストリッカーがいかにして日本で最高の人材を見つけるかアドバイスします。

初めに、採用に必要な条件について妥協し、何を優先すべきかを決める必要があります。40歳でエンジニアとしての知識があり、マネジメント経験があり、流暢な英語を操り、素晴らしい営業成績があり、特定業界での長年の経験がある、というような「スーパーマン」「スーパーウーマン」というのはなかなか存在しないものです。もしいたとしても外資系企業への転職に興味がない場合もあります。だからこそ優先事項を決め、妥協すべき点は妥協する事が重要なのです。とは言うものの、日本での採用に限って言えば、「パーソナリティ」については絶対に妥協しない事をお勧めします。次に、外資系企業は日本の「隠れた人材層」を活用すべきだと思います。女性マネージャー、日本に住む外国人、または高齢のエグゼクティブです。伝統的な古い考えをもった日本企業は、今までと違った層の労働力を取り入れることがまだできていません。その為上記のような人材層はまだまだ獲得しやすいのです。
最後にマーティン・ストリッカーは、HR分野において、外資系企業は日本企業と外資系両方の良い点を活用すべきだと説明しました。例えば日本で人と違ったキャリアを築こうとすれば、自分の時間の100%を使ってがむしゃらに働かなければなりません。しかしスイス国内の労働市場ではフルタイムで働かなくともおもしろい仕事も普通にあります。自分の時間の50% - 100%内でできる仕事です。日本でもこうした働き方を提案してみてはいかがでしょうか。家事と両立しなければならない女性のエグゼクティブたちにとって特に魅力的な働き方ではないかと思います。


パート3:お弁当と梅酒を楽しみながらの活発なディスカッション


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2つのプレゼンテーション後のディスカッションは大いに盛り上がりました。参加者の中には実際に日本でのビジネス経験がある方、日本の企業と取引のある方もいました。Switzerland Global Enterpriseやその他のスイス企業、個人事業者、学会を代表して参加している方々もいました。最後には日本の「お弁当」と梅酒を味わいながらのネットワーキング会があり、セミナーは終盤を迎えました。今回のセミナーはチューリッヒの主要駅近くにある日本家具と雑貨のお店SATOで行われましたが、社長のErwin Zehnderさんは参加者が会場内で心地よく参加できるよう気を配って下さいました。珍しい日本庭園のある素敵な会場でした。

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セミナー後、参加者の方々からは好意的なご意見をいただきました。今回の感想を励みに、Pierre Gaulisとマーティン・ストリッカーは次回のセミナーを今年後半か来年に予定しています。今後の予定もご紹介していきますので是非ご期待下さい。