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【スイス・ヨーロッパ事情】スイスの就職活動について パート1

大学生の就職活動

スイスでの職探しは日本とかなり異なります。最も違う点は、スイスでは職探しのプロセスに特に決まりがないことでしょう。日本では誰もが同じ時期(大学の最終学年の初め)に「就職活動」に入ります。応募から最終的に採用されるまでのプロセスがきっちりと決まっており、採用された学生たちは最終的に次の年の4月から仕事を始めます。 一方スイスの就職活動はもっと自由で、これといったシステムがあるわけではありません。この主な理由は日本とスイスの学校システムの違いではないかと思われます。

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スイスの学校システムはエリート主義だと言う人もいるかもしれません。
スイスでは小学校が終わるころにはすでに成績によってレベルが振り分けられます。高校に入れるのは中学で最も高いレベルにいた生徒に限られており、最終的に大学に入れるのは高校を卒業した人に限られます。こういったシステムがあることから、スイスでは学生の30%しか大学に進みません。こうした状況の背景には、スイスでは大学進学以外にもたくさんの選択肢があることがあります。

大学に進学した学生の中でも、学士や修士号を得て卒業するのはさらに限られた人数となります。日本と違い、スイスの大学は入るのは簡単でも卒業するのは大変難しいからです。また学位をとって卒業するというシステムは日本と同じでも、スイスの大学の教育課程はずっと自由です。スイスの大学の場合、学生が全ての単位を取った段階で(修士の場合特に通常日本の大学より長くかかります)、毎年2回行われている卒業試験を受けることができます。 こうした背景によりスイスの大学生は決まった時期だけではなく年中職探しをしていますが、春と秋の卒業試験の期間中または直後がピークとなるようです。その為どこの大学もその時期に就職に向けた特別コースを実施します。このようなコースのほとんどは最初の面接への準備が中心となりますが(服装など、どうすれば最高の自分を見せる事ができるかについて、これはNGだという行動、またよくある質問についてなど)、履歴書の書き方(内容やデザインについてなど)についても学びます。同時に就職についてのコンサル団体や研究所のサポートを受ける事もできます(学生の場合は無料でサポートを受けられる事もある)。

また就職フェアなどでも最新の就職市場の情報を得ることができます。こういったイベントでは企業に自己紹介をしたり、履歴書を渡す機会も設けられ、応募プロセスの前の最初の一歩を踏み出すことができます。
他にも、多くの学生が学業の合間に従事していたパートタイムの仕事や、インターンシップの仕事を通して職を見つけます。教授または教師のつてで職を見つける学生もいますが、このような方法で職を見つけるのは、法律、薬学、経済など直接仕事に結びつく専攻をしている学生に特に多く見られます。上記のような機会に恵まれない学生は積極的にあらゆる媒体(新聞、インターネットなど)から職探しをしなくてはなりません。とはいえ、どんなに探しても自分の経歴や専攻に合う求人案件が見つからないという事も多々あります。そのため学生たちは興味がある企業に直接連絡をとり、自分がフィットしそうなポジションに空きがないか確かめます。この方法は大抵時間がかかるため、疲労のあまり不満をため込む人が多いようです。

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一方で、学生が卒業後しばらく無職であったとしても、スイスの場合は日本のように大きな問題にはなりません。言葉を変えれば、「卒業後すぐに就職しなくてはならない」というプレッシャーは日本のように高くはないのです。卒業後仕事を始める前に数カ月、または一年も世界中を旅して回る学生たちもたくさんいます。

結果として、日本とスイス、どちらのシステムがより優れているかを決めることはできません。日本のようにきっちりと決められた就職システムがあれば、学生たちも初めての職となる仕事を見つけやすいでしょうが、就職に失敗してはいけないというプレッシャーはスイスの学生たちに比べてずっと高く、また最初の重要なステップにつまずいたことで未来のキャリアに及ぼす影響は高いといえます。スイスの学生はこのようなプレッシャーを感じる必要はありません。スイスでは一年中いつからでも働き始める事ができますし、最初の就職は日本ほど重要とは考えず、数年働いて転職する事もあるからです。とはいえ、スイスの学生たちも大変な努力をし、最初の就職先を見つける為に積極的に活動します。

(注意:この記事に書かれている求職プロセスはスイスの大学生について書かれたものです。次回は大学に進学しないスイスの若者たちの就職事情について書いてみたいと思います)