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【スイス・ヨーロッパ事情】「お客様重視」か「従業員のワーク・ライフ・バランス」か - ドイツの例 -

最近は、節電や不況の影響を受けて、残業は全体として減る傾向にあるようだ。しかし、そもそも「ノー残業デー」という言葉があること自体、日本人は上から「早く帰りなさい」といわれない限り、早く帰りにくいのが現実であることを示していると思う。上司や同僚が残業している中、一人だけ先に帰るのは勇気がいる、という人もいるかもしれない。そんな人に勇気をくれそうなエピソードを、今回は紹介したい。


ドイツのワーキングスタイル


欧州といってもその文化は様々。 今回はドイツのワーキングスタイルを元に、お客様にとっての便利さと、従業員の幸福との間でどのようにバランスを取るべきか、考えてみたい。
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ドイツ人は、一般的に、契約書に書いてあることをきっちり守る傾向がある。そもそも契約書というのはその内容が守られてしかるべきものであるけれど、ドイツ人の特徴は、「文字通りきっちり」守るところだ。ドイツの労働契約書には、職務内容、責任の範囲、勤務時間、残業、休暇等について非常に細かく規定されており、労働者も雇用者も、基本的にそれを順守する。

ドイツの職場では、終業時間とは、「オフィスを出ていく時刻」を意味する。ごく一部の管理職にはそうでもない人もいるが、一般の労働者はほとんどみんなそうである。18時が終業時間ならば、17:40から公然と帰り支度が始まる。コーヒーカップを片付け、机の上の書類をきれいにしまう。17:50にはパソコンの電源を落とし、それからコートを着て、手袋をはめ、きれいに片付いた机の上に通勤バッグを載せ、時計の針が18時に重なるのをじっと待つ。そして、針が重なるや否や、みんな一斉に「じゃあね!」とか「また明日!」とか口々に言いながらがやがやとオフィスを出ていく。残されたのはごく一部の管理職と日本人だけ・・・。

こういう働き方はお客様がいても変わらない。お店の閉店時間が18時なら、18時は「店のシャッターを下ろす時刻」である。だから、17:30ごろから(あるいはもっと前から)、客がいてもお構いなしに露骨に店じまいの支度が始まる。17:50にスーパーに入ろうものなら、ものすごく嫌な顔をされるか、「18時閉店よ!」と怒ったように念を押される。「お客様は神様」という言葉はここでは通用しないので、あきらめるしかない。でも、客がわがままを言えないおかげで、従業員は定時に家に帰り、家族や友人との時間を楽しむことができるのだ。



客として、従業員として


日本では、18時が終業時間なら、18時まできっちり仕事をして、18時を十分に過ぎたことを確認してから、あまり目立たないように帰り支度を始め、残業中の人に遠慮しながら静かに挨拶して出ていくのが美徳、というか常識だ。お店の場合、お客さんがいるのに店じまいを優先するなんて、考えられないことだ。日本の閉店時間とは、蛍の光のメロディーが流れ、「お客様にさりげなく帰宅を促し始める時間」ではないだろうか。そういう感覚で育ってくると、ドイツ人のワーキングスタイルには衝撃を受ける。

A: 自分が客だったら、絶対に日本の方が快適だ 。 Thumbnail image for iStock_000017565098XSmall.jpg
B: でも、自分が働く立場だったら、ドイツの方がいい。

この二つの相反する本音の間で、いったいどこで折り合いをつけるべきなのか?
何をどこまで求め、どこから先をあきらめるのか?
それは、それぞれの国が、社会が、企業が、ひるがえって一人一人の個人が考えていくべき問題であると思う。



労働時間と経済力との関係


ただ、気になることがある。 ドイツではほとんどの人がこういう働き方をしているが、ドイツの一人当たりGDPは日本より多いのだ。 また、世界にはドイツよりもっと労働時間が短い国もたくさんあり、そういう国の中には確かにトップクラスの先進国ほど豊かでないところもあるが、それでも国や社会はそれなりにまわっている。
こう考えると、日本がもうあと2、3歩ドイツ寄りの方向に歩んでも、何にも心配いらないのではないか。


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