【転職活動】ソーシャルメディアと転職活動
弊社のニュースレターなどでも何度かご紹介したことがありますが、ここ数年フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアの爆発的な普及によって、欧米を中心に転職活動にも大きな変化があったことはさまざまなメディアが報じています。 弊社でも実際に多くの方が多様なコミュニケーションのツールとしてソーシャルメディアを活用しているのを目にします。また最近では人材紹介会社のリクルーターや企業の人事も優秀な候補者を探すツールとしてソーシャルメディアに注目しています。実際にソーシャルメディアにプロフィールを載せているおかげでヘッドハンターから声がかかったという話もよく耳にします。
欧米では「ソーシャル・リクルーティング」という言葉も浸透していますが、日本ではまだそれほど浸透していないようです。転職サイトのDODAの昨年の調査によると、現在でも日本の転職活動におけるソーシャルメディアの利用率は9.8%にとどまっているそうです。その理由は日本人が主にソーシャルメディアを個人的なコミュニケーションのツールとして利用しており、ビジネス用のツールと使い分けることができていないため、また日本ではネット上に実名や社名、職歴を公開する習慣がないためと言われています。将来的に転職は考えていても、多くの人の目に留まる形で個人情報を公開するのはリスキーだと考えている人が多いのでしょう。
ビジネス用のソーシャルメディア
ソーシャル・リクルーティングがすでに活発に行われている欧米ではパーソナルなコミュニケーションツールとして利用するのはフェイスブック、ビジネスユーズで利用するのはリンクトインと使い分けがされているようです。 リンクトインは世界中でユーザーが2億人を突破し、世界200以上の国で利用されているビジネス用ソーシャルメディアで、登録した人が実名や職歴を公開し、ビジネス上でつながりのある人、そのまたつながりのある人とネット上でビジネスの輪を広げていくツールです。実際リンクトインでつながったことでビジネスチャンスが広がる場合もあることから、欧米では多くのビジネスマンがリンクトインを利用しています。ユーザー数世界一のアメリカでは実にビジネスマンの75%が利用しているとのことです。 最近ではリンクトインを使った転職も一般的になってきたため、企業やリクルーターの求人広告も掲載されるようになってきました。2011年には日本語版リンクトインがスタートしたものの、最初は欧米向けの英語のツールであったことも影響したのか、日本ではまだまだ普及しておらず、昨年のデータでは世界のユーザーランキングでも日本は36位と低めでした。 とはいえ今後日本でも人材発掘の場としてもっと活用されることは必至なので、転職を希望している人には積極的にリンクトインの利用をおすすめしたいと思います。
リクルーターの目に留まるプロフィールの作り方
リクルーターまたは企業の人事は2億人を超える登録者の中からあなたを探し出すわけですから、すぐに目に留まるようなプロフィールの書き方をしなければなりません。そこで、リクルーターの目に留まりやすいプロフィールの作り方や注意点などを何点かご紹介したいと思います。
1.プロフィールは英語で書く(リンクトインをサーチするリクルーターは、今のところ外資系やエグゼクティブ専門が多く、英語力が重要とされるため)。 2.勤務先の会社の名前をできるだけ開示する(状況によりどうしても現職の会社名を出せない場合もあるので、その場合は非開示にするしかない。しかし、会社名がわかれば、その方が得意とされている業界・製品の想像がつきやすく、興味のあるリクルーターや企業から声がかかりやすくなる)。 3.学歴を書く場合は専攻まで書く(大学名が重視される国もあるが、外資系企業は大学名よりも専攻内容を重視している) 4.自分のスキルに関連する重要なキーワードをしっかり記述する(誰しも、まずはキーワード検索から始める。自身のスキルに直結する重要なキーワードは、プロフィールの中に意識して含めておくべき)。 5.個人名は、なるべく実名を出した方が良いが、難しい場合はファーストネームだけでも出したほうがよい(あなたのプロフィールに興味を持った人がメッセージを送る際、Dear XX... と呼びかけられる方が、親しみがわく)。 6.メッセージは短く、簡潔に(あまり長い文章を書いてもネット上で最後まで読んでもらえる保証はない。要点を押さえた短い文章の方が好まれる)。 7.リンクトイン上でなるべく多くの人とつながる(多くの人とつながっている人はアクティブなビジネスマンであり、ソーシャルメディアの活用法にも長けているというポジティブな印象を与えるため)。
良くないプロフィールの例
1.あまりにも情報を隠しすぎて(会社名、大学、得意な産業等)おり、どんな人物なのかまったく想像がつかない(リクルーターは手当たり次第に声をかけるのではなく、本当に専門性のある方を探しているため) 2.プロフィールが日本語のみ(英語は得意ではないと判断される。日本語・英語併記は可)
以上のことに気をつけてプロフィールを作成すると、リクルーターの目に留まりやすいのではないかと思います。
ソーシャル・リクルーティングの落とし穴
ソーシャルメディアは転職活動に便利なツールですが、意外な落とし穴もあります。 実名で登録するソーシャルメディアの場合、簡単に名前から検索されてしまうので、応募した会社の採用担当マネージャーが、候補者の性格や、社風に合うかどうかなどをチェックする為にソーシャルメディア上のプロフィールやつぶやきを調査することもあるのだそうです。 これは絶対にやってはいけないことですが、ソーシャルメディア上で学歴を詐称した人がヘッドハントされ、その後同じソーシャルメディア上でつながりがある人から学歴詐称を暴かれ、採用が取り消されたという記事がありました。将来的な転職にソーシャルメディアを活用したい人は、普段から自分のプロフィールや発言の内容に気をつける必要があるでしょう。
チャンスはどこにあるかわからない
一方ではITエンジニアなどを中心に、ソーシャルメディア上の日常的なやりとりからある企業と親しくなり、特に転職活動していたわけではないのに、そのまま採用が決まってしまった、という例もあるようです。これはIT業界ならではという感じがしますが、意外な落とし穴もあれば、このような幸運もない話ではないようです。
いつどこでチャンスがあるかわかりませんので、転職をお考えの方は、常に将来を見据えながら効果的なソーシャルメディアの活用をしていただきたいと思います。