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【スイス・ヨーロッパ事情】国境を越える労働者たち----スイス特有の現象

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今回はいつもの転職アドバイス記事からちょっと趣向を変えて、スイスの仕事環境においての特殊な現象をご紹介したいと思います。

日本とスイスには多くの類似点がありますが、同時に異なっている点も多くあります。 最も顕著な点といえば、スイスは日本と違って島国ではないということです。そんなことは当たり前だろうと思われるかもしれませんが、この事はスイスの仕事環境に大きな影響を与えています。
ヨーロッパの中心に位置するスイスは他国に比べ給料が高く、職場環境も良好なことで、特に近隣諸国(ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタイン)にとって、「越境労働」と呼ばれる特殊かつ便利な機会を提供している、魅力的な仕事市場となっています。越境労働者たちは、自国に居を構えたまま毎日スイスにある自分の職場へ通勤します。そうすることで、スイスで高給を得ながら生活費は安く保つことができるのです。

2002年6月に「人の移動の自由に関する協定」が発効されると、越境労働者は著しく増加しました。今日では27万人以上のヨーロッパ人がスイスで働く為に国境を越えます。連邦統計局の調べによると、越境労働者で最多はフランス人(143,000人)、次に多いのはイタリア人で(62,000人)、続いてドイツ人(56,000人)、オーストリア人(8,100人)となっています。


越境に関する規制


スイスとEU(欧州連合)の間の「人の移動の自由に関する協定」は2002年6月1日に発効され、越境労働者は国境地域に居住しなければならないという義務は2007年6月1日に撤廃された。 それにより企業が従業員を採用する際、外国人の雇用を制限したり、スイス人の雇用を優先する必要はなくなり、越境労働者は企業と雇用契約を結べば、一週間に一度帰国するという条件付きで、自動的に労働許可を取得できるようになった。


しかしスイス全土で越境労働者が同じように歓迎されているわけではありません。ドイツ語圏ではよく受け入れられている越境労働者ですが、フランス語圏、イタリア語圏ではもっと多くの困難に直面しています。主な原因は「人の移動に関する協定」が発効されてから越境労働者が著しく増えたこと、また失業率の高さと賃金カットによるものでしょう。一方ドイツ語圏(特にバーゼル地域)では越境労働者の数はそれほど増えていません。2002年の協定発効前からすでに高い割合で越境労働者が存在しており、そのため地元住民も近隣諸国からの同僚たちに慣れ親しんでいました。

越境労働者に対する反発、反対運動などはあるものの、概して越境労働による、当初心配されたような悪い影響(例えばスイス市民にとって求職市場の競争が激化するなど)は少なく、むしろこの特殊な現象は地元のビジネスに貢献しているようです。

最後になりますが、もし日本がスイスと同じ状況になったらどうなるでしょうか?もしも越境労働者が突然増加したら、日本の仕事環境に何が起こるでしょうか?


(さらに詳細な情報はスイス情報を発信しているサイトSwiss infoの7月2日掲載記事「越境労働者 論議を呼ぶスイスの現状」を参照下さい: http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=36330078

Image courtesy of franky242 / FreeDigitalPhotos.net