【キャリアプラン】多言語能力の市場価格
弊社のスタッフ社長以下4名は皆、外国語が得意です。4人の共通語は日本語と英語ですが、時と場合に応じて、それ以外の言語も飛び交う環境です。 しかしながら、現在の転職市場では「多言語ができる」というだけでは市場価格が非常に低いです。通訳や翻訳など、語学専任のポジションの募集はとても少ないですし、あるとしても正社員ではなく、契約社員か派遣社員のポジションばかりです。これまで自分が語学力、外国人との交渉力、またそれを補強するユニバーサルな一般常識・教養を身につけるために費やした時間と苦労を考えると、今の現実はとても残念で、ショックです。
外国語は「+α」 の能力に
現在の転職市場では、外国語能力は、営業、技術、ロジスティクス、経理など、他の会社でも通用する基盤業務の経験に加えて、「プラスアルファの能力」として求められるものになりました。これまでのキャリアで特殊な業界で働いていたり、ジョブローテーションで様々な業務を経験したために、他の会社でもすぐに使える、一般的で、一貫した基盤業務を何かひとつ持っていないと、転職はとても難しくなってしまいます。 一方、単にTOEICの点数が高いことと、外国語を使って本当に意味のあるコミュニケーションが取れることは、別の次元の問題です。日本語的な発想を英語で表現するだけでは、本当の意味で話は通じていません。今のところ、日本ではTOEICの点数をクリアすることが目標のように騒がれていますが、転職市場で求められるハードルは確実に上がっています。応募するポジションにもよりますが、この点にも注意が必要です。
欲張りな能力の組み合わせ
これまで語学能力について考えてきましたが、同じような現象は、語学に限らず、今、ありとあらゆる産業分野で起きているのではないでしょうか。しかし、どんなに厳しい現実であっても、ただショックを受けているだけでは何も変わりません。まずは現実を受け止めて、では次にどうしたらよいかを考え、それに対処していく必要があります。 弊社のおすすめする対処法は、需要はあるのに供給が不足している「欲張りな能力の組み合わせ」をこの先持てるように、またはそれに少しでも近づけるように、現職の間に日々努力することです。 筆者がかつて働いていた大きな組織では、何か新しい仕事を頼まれると、「これは私の仕事ではありません」と拒否する人がよくいました。まさにこれとは逆の発想が、つまり、現職のうちに経験できる業務のすそ野を広げておくことこそが重要であると思います。
Gaiproからのアドバイス
1. 技術畑を歩んできた方の場合 技術を磨くことに加えて、実験室の外に出て、営業経験・流暢な英語力・マネジメント経験もプラスで身につければ、選択肢がとても広がります。 2. 人事・総務・経理などバックオフィス経験者の場合 流暢な英語力に加えて、オフィスマネージャーとして一人で何役もこなせるマルチタスキング能力が求められます。また、セールスやロジスティックス業務のサポートなど、他の業務にも柔軟に対処できる方が有利です。 3.社長ポジションの場合 業界経験に加えて、日本のお客様に好かれつつ、ヨーロッパの本社幹部とも対等に議論できる人物がこれまでも求められてきました。日本とヨーロッパの両方を満足させることは大変です。しかしこれからはさらに、社長自らが営業部長とCFOを兼務できるくらいのオールラウンドな能力が求められるかもしれません。 4. すべてのポジションに共通すること 色々なことを書きましたが、どの会社でも必ず求められるのは信頼できる人柄です。英語では「integrity」 といいます。日本の場合、新入社員として入社後にキッチリ学んだビジネスマナーは貴重な財産であり、ビジネスの基礎体力です。こうして学んだ初心を忘れずに、誠実で、嘘をつかず、周りから信頼される人柄。月並みですがこれが何よりも大事なことだと思います。日々採用の現場に接し、このように感じています。