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【キャリアプラン】震災後、日本のワークスタイルは変わったか?

日本企業といえば労働時間が長く、残業が当たり前というイメージがある。
テレビで放送されるCMなどでも日本の「サラリーマン」が残業の末に夜遅く帰宅し、待ちくたびれた妻がダイニングテーブルに突っ伏して寝てしまっている、という光景が度々見られてきた。 これは単なるイメージだけではなく、今年5月に発表されたOECD経済協力開発機構の調査によると、「世界で最も労働時間が長いのはメキシコ、日本は次いで2位」なんだとか(参照: 関連記事
海外の企業では「残業をするのは決められた時間内に仕事を終わらせる能力がない」と言われることもあり、決められた時間内にばりばりと仕事をこなし、残業はなるべくしないで退社後は家族とのコミュニケーションを図ることが当たり前とされている。これに対し日本企業では長い間「残業をするのは当たり前」、「残業をしないとちゃんと仕事していると思われない」と思われる風潮があり、そのためだらだらと仕事をして残業をする、という会社員が多い事をたびたび海外の企業から揶揄されてきた。


震災がきっかけ

ところが、震災後、日本のワークスタイルが少しずつ変わっているという。
3月11日に起った未曽有の大地震、それに続く原発事故により、日本は今まであふれんばかりに供給されていた電気を自由に使えなくなってしまった。震災後、計画停電が実施され、電車は本数を減らして運行され、人々は強く「節電」を意識するようになった。最も電力が必要とされる夏に向けて、「節電」の意識は高まる一方だ。
環境省は「クールビズ」のさらに上をいく「スーパークールビズ」を推進。従来からの「28℃の室温設定」「ノー上着の奨励」といった方針に加え、「更なる軽装の奨励」「勤務時間の朝型シフト」といったこれまでより一歩踏み込んだ取り組みをはじめた。日本企業のイメージとは程遠いアロハシャツや無地TシャツもOKという環境省のPRに驚いた人も多いだろう。


サマータイムの導入

節電のために日本ではあまりなじみのない「サマータイム」を導入した企業も多い。キャノン、パナソニック、シャープ、日産などもサマータイム導入を発表している。また、NTTやソニーなど、休日を平日に移し、土日に勤務する方針にした企業も少なくない。 「サマータイムを導入しても、残業するのではあれば勤務時間が増えるだけ」という声も聞かれるため、「ノー残業」を掲げる企業も多く聞こえるようになった。武田薬品工業は週2日「ノー残業デー」を実施すると発表したほか、北九州市役所など自治体でも「ノー残業」を取り入れたところが多い。また、在日外資系企業のネスレも全社で「ノー残業」を推進し、25%の節電へと意欲的だ。


増える在宅勤務

またファストフード大手の日本マクドナルドは5月に「本社オフィスでの措置として、在宅勤務の推奨、夏休みの一斉取得の推奨、残業ゼロによる空調及び照明の削減などで、夏場3ヶ月の本社電力使用量、25%の削減を目指す」と発表している。 在宅勤務を推進する企業は多く、日本マクドナルドの他にもNTT、ソフトバンク、KDDIなども夏場の在宅勤務を実施すると発表している。


仕事かクオリティ・オブ・ライブか

こうした動きに対し在日外国人からも「震災をきっかけに、日本は無駄な残業をなくせないか?無駄な残業イコール無駄な電力消費だ。残業が少なくなれば家族のコミュニケーションが増え、日本人全体がもっと幸せになれるのではないか?」という声が上がっている。前述の外資系大手ネスレ(スイス企業)も今回の節電プランについて「がまんするのではなく、社員の生活を改善する絶好の機会」と語っているそうだ。

震災後、「家族」の大事さを痛感したという日本人は多い。これまで仕事一筋だったビジネスマンも家族と過ごす時間、仕事以外の自分の時間を大切にするようになった。
今まで「働き過ぎの国」、「ワークスタイルに自由がない国」というイメージが強かった日本だが、今回の震災を経て、皮肉にもワークスタイルに変化が生じているようだ。節電を機に作業の効率化を進め、残業を少なくし、家族のコミュニケーションを増やし、余った時間を自由に使えるようになれば、これまで日本ではないがしろにされてきた「クオリティ・オブ・ライフ(ひとりひとりの人生の内容の質を指し、どれだけ人間らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているかを指す)」を向上させることができるかもしれない。

生活のクオリティを高め、日本人ひとりひとりがより生活に幸福を見出せるようになった時、日本は真に復興の道を見出せるのかもしれない。